メガネのこと

メガネの汗と化粧汚れは、朝と夜でケアを分ける

暑い時期になると、朝かけたときはきれいだったはずのメガネが、昼にはもう鼻あてが白くなっている。ファンデーションを塗った日は、レンズの下のほうがうっすら曇る。そんな覚えのある方は多いと思います。この記事では、メガネに付く夏の汚れを「汗・皮脂」と「化粧品・日焼け止め」の二系統に分け、付く場所の違いから見分けて、朝と夜でやることを変えるケアの組み立て方をご案内します。

夏の汚れは二系統。付く場所がはっきり違う

メガネの汚れを一括りに「脂汚れ」と考えてしまうと、拭いても取れない、取れてもすぐ戻る、という堂々巡りになります。まず、付く場所で二つに分けてみてください。

汗・皮脂の系統は、肌に触れているところに出ます。具体的には、鼻あて(パッド)の裏側、鼻あてを支える金具の付け根、テンプル(つる)が耳にかかるあたり、こめかみに当たるテンプルの内側。つまり**フレームの「裏面」と「端」**です。レンズの真ん中にはあまり付きません。汗に含まれる塩分と皮脂が混ざって乾くと、白っぽい粉のような曇りになり、これが積み重なると鼻あてのシリコンが黄ばんできます。

化粧品・日焼け止めの系統は、肌に「触れていない」ところにも飛びます。レンズの下半分、フレームの下リムの表側、鼻あての表側(顔の側ではなく外側)。ファンデーションのパフやスポンジ、日焼け止めを塗るときの手のひらが、かけているメガネの縁をかすめる。あるいは、メガネを外して塗って、乾ききる前にかけ直す。そのときに移ります。こちらは白く曇る、油膜のように虹色に見える、という出方をします。

見分け方はかんたんで、裏側が汚れていれば汗・皮脂、表側やレンズの下半分が汚れていれば化粧品系。両方汚れているなら、両方起きています。夏はたいてい両方です。

汗・皮脂は「乾く前」、化粧品は「乾いてから」

二系統に分ける意味は、対処のタイミングが逆になるからです。

汗と皮脂は、乾いて固まる前のほうが落としやすい。汗が乾くと塩分が結晶化して、鼻あての表面のわずかな凹凸に食い込みます。こうなると乾いた布で拭いても表面を撫でるだけで、白い曇りは残ります。だから汗の系統は、日中こまめに、水気のあるうちに対処するほうが効率がいい。

化粧品と日焼け止めは逆で、付いた直後に拭くといちばん広がります。日焼け止めは伸びるように作られているので、乾いた布で擦るとレンズ全面に薄く塗り広げてしまう。虹色の油膜のようになって、拭けば拭くほど曇る、という状態はたいていこれです。付いた直後はむしろ触らず、水で流せる場面まで持ち越したほうが結果的に早い。

この「汗は早めに、化粧品は触らず後回し」という性格の違いが、朝と夜でやることを分ける根拠になります。

朝にやること ―― 塗る順番を変えるだけで、汚れの量が減る

朝は落とす時間ではなく、汚れを付けない段取りを作る時間です。やることは三つだけです。

一つ目、メガネをかけるのは最後にする。 日焼け止め、下地、ファンデーション、この一連が終わって、肌が乾いてからかける。順番を入れ替えるだけで、レンズ下半分への付着はかなり減ります。かけないと鏡で自分の顔が見えない、という方は、メイクのときだけ使う古いメガネを洗面所に置いておくのがひとつの手です。それが用意できないなら、せめて日焼け止めを塗るときだけ外す。日焼け止めがいちばん伸びて、いちばん広がります。

二つ目、鼻あての位置に、パウダーを重ねすぎない。 鼻筋のTゾーンにパウダーを厚く乗せると、そこに鼻あてが載ることになります。汗で溶けたパウダーが鼻あての裏に移り、白い付着物の正体になることがあります。鼻あてが当たる位置だけ、薄めにしておく。

三つ目、出かける前にフレームを一度、目で見る。 昨夜のケアで拭き残した部分があれば、朝の明るい光でわかります。曇っていたら、外出前に軽く水洗いできれば理想です。

朝のケアで大事なのは、時間をかけないこと。朝に丁寧に洗う習慣は続きません。続くのは「順番を変える」だけの工夫です。

日中と夜にやること ―― 一日一回、水で落とす時間を作る

日中、汗をかいたときは、ティッシュやハンカチで鼻あての裏を軽く押さえる程度にとどめます。擦らない。擦ると汗の中の砂埃がレンズに回って、細かい傷の原因になります。押さえて水分を取るだけで、乾いて固まる汗の量はだいぶ減ります。

化粧品が付いたことに日中気づいたら、原則は触らない。曇ったまま過ごすのが不便なら、少量の水で濡らしてから拭く。乾いた状態で擦るのがいちばんまずい、と覚えておいてください。

そして夜。夏のあいだは、一日の終わりに水で落とす時間を一回作るのがおすすめです。ぬるま湯ではなく常温の水で、フレームの裏表を流す。指の腹で鼻あてとテンプルの内側を軽くなでる。水気はティッシュで軽く押さえてから、乾いた眼鏡拭きで仕上げる。これで、汗の塩分も、化粧品の油分も、大半は落ちます。

注意したい点をいくつか。熱いお湯は使わない(レンズのコートを傷める要因になります)。アルコールや除光液、クレンジングオイルをレンズに使わない(コートや塗装を痛めることがあります)。洗ったあとに濡れたまま放置しない(金属部分の腐食や、ネジ周りの緑青につながります)。

季節限定でいい、というのがこのケアのポイントです。汗をかかない時期は、夜の水洗いを毎日やる必要はありません。夏のあいだだけ、夜に一回。そう決めたほうが続きます。

落ちない汚れと、ケアでは直らないこと

正直に書いておきたいことがあります。洗っても取れない汚れは、たしかにあります。

鼻あてのシリコンやセルの黄ばみは、素材そのものが変色している場合があります。これは表面の汚れではないので、どれだけ洗っても戻りません。ただし、鼻あては消耗部品として交換できる作りのものが多く、交換すればその部分は解消します。

フレームの塗装やメッキが、汗が当たる場所から剥がれてくることもあります。金属部分のくすみや白い浮きは、汗の成分が長く残った結果として起きることがあり、こうなると洗浄では戻せません。剥がれの範囲と場所によって対処が変わるので、気になったら持ち込んで見てもらうのが早いです。

レンズが常に汚れる、という場合は、汚れ自体ではなくかけ位置が下がっていることが原因のこともあります。ずり落ちてくると、まつげや頬がレンズに触れる回数が増えます。これはケア用品ではなく、かけ具合の調整で変わる部分です。

それから、これはきちんと線を引いておきます。「なんとなく見えにくい」「目が疲れる」といった体の側の不調は、汚れの話とは別です。眼の症状や病気の診断は眼科医の領域で、メガネ店にできるのは見え方のご相談と、フレームのかけ具合の調整までです。洗ってもすっきりしない、という感覚が続くときは、汚れを疑う前に眼科で診てもらうほうが確実なことがあります。

順番のまとめと、実物を見てもらうと早いこと

夏のメガネのケアは、この順番で考えると整理できます。

  1. 汚れている場所を見る。 裏側なら汗・皮脂、表側やレンズ下半分なら化粧品・日焼け止め。
  2. 朝は、かける順番を変える。 メイクと日焼け止めが終わってから、最後にかける。
  3. 日中は、擦らない。 汗は押さえて取る。化粧品は触らず持ち越す。
  4. 夜に一回、水で流す。 夏のあいだだけの習慣にする。
  5. 落ちない黄ばみ・剥がれは、洗浄ではなく部品交換や調整の話。

手入れで直るのは、あくまで表面に載っている汚れまでです。素材の変色、ネジの緩み、かけ位置のずれは別の対処になります。鼻あての交換や、かけ具合の調整はその場で見て触らないと判断しづらいところなので、汚れが気になり始めたタイミングで一度点検に出しておくと、夏を越しやすくなります。

HAUSのメガネ売場にも一級眼鏡作製技能士が常駐していて、鼻あてのカスタマイズやかけ具合の調整のご相談を受けています。「洗っても白いままなんですが、これは汚れですか、劣化ですか」といった見分けも、現物を見るのがいちばん早いです。お使いのメガネをそのままお持ちいただければ、どこまでが手入れで戻る範囲かを一緒に確かめられます。

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